Episode 01エピソード 01
最高のゲームで
世界を楽しませよう!
常に挑戦を続ける
ものづくり集団の現場
2018年10月5日に任天堂から発売された
「スーパー マリオパーティ」の開発に
携わったメンバーが、
任天堂と協働し、
どんな仕事やチャレンジをしたのか?
企画から開発までの
エピソードをご紹介します。
※このインタビュー内容は、採用活動の一環として、
制作内容、メンバーを限定し構成しております。
01プロジェクトの誕生
「みんなで長く遊べ、ハードの魅力を再確認してもらう」。Nintendo Cubeが制作するパーティゲームはそんな役割を担っています。「マリオパーティ」シリーズもその1つ。任天堂がプロジェクト制作にゴーサインを出すまで、社内で半年ほど試作を繰り返します。
試作のゲームを担当するメンバーは5~10人と少人数。ディレクター統括の下、プランナーが中心になり、みんなでアイデア出しを行い、テーマをまとめます。スタッフのアイデアから面白さを引き出し、方向性を決めていくのがディレクターの役割。試作といえども、遊び心地に対しての妥協を許しません。「知らない人でも 『マリオパーティ』を楽しめる、これまでと違ったあらゆる要素を盛り込んだ“スーパー”なゲームとして世界中へ届けよう!」。その目標のもと、資料作成はもちろん、ゲームの面白さがわかるよう実際にプレイできるプロトタイプをつくり、製品版として本格的に開発を進めるゴーサインが出るまで、何度も任天堂スタッフとともにプレゼンテーションに臨みました。そんな試行錯誤から制作が決定したのが本タイトルなのです。
全体の構成が決定すると、制作に関わる人数がぐっと増えます。まず、プランナーがひとつひとつのゲームを丁寧につくりあげていきます。それぞれのプランナーがミニゲーム数本を担当しながら、モードやボードの制作にも携わります。あるプランナーは10本のミニゲーム制作と並行し、ボードでは8マップの仕様を担当。それぞれが異なるため、条件を把握し、“面白さ”を盛り込んだゲームの仕様を考えていきます。プランナーは誰よりも繊細に気を配ることを求められます。プレイヤーが取るであろうあらゆる動き、想定しうる展開を考慮しながら対策を練るのです。独りよがりにならないよう、他部署と密に意見交換し、反対意見も真摯に受け止めます。そうして「世界のどんなプレイヤーでも楽しめるゲーム」へとプロジェクトを導いていくのです。
02経験を活かし、新しいハードに挑むプログラマー
試作から関わったメンバーの1人は、プログラマーを統括する役割を担当。Nintendo Switchの機能検証はもとより、プロジェクトの基盤となるプログラム構築を行い、的確に各担当者へ指示を出していきます。それだけでなく、プランナー、デザイナー、サウンドなどの各担当から持ち込まれる要望を実現するため、その分野に長けた各プログラマーと内容を精査し、それが面白いと思われるものであれば実装を前提に考案していきます。例えば、「スーパー マリオパーティ」で採用された、ミニゲームの操作説明画面で練習ができる仕様は、プログラマーたちの検証の成果なのです。
当時、新卒入社から3年目だった若手社員も奮闘しました。10本以上ミニゲームを制作しながら、ゲーム全体で利用される共通機能の実装を複数担当したのです。中でも大きなチャレンジは、キャラクターアニメーション制御のシステム構築。動きをつくるモーションチームと連携し、検証に検証を重ねました。首や体が滑らかに動き不自然になっていないかなどを細かく調整。数多くの項目を妥協せずに徹底的に調整することで、特殊な動きや違和感のない動きを実現したのです。
03デザイナーたちの新しい挑戦
マリオたちのキャラクターがもつ個性を崩さず、独自の動きを制作していくのが3Dモデル/モーションチームの作業。経験値、ノウハウともに蓄積しているモーションチームのリーダーが、そのまとめ役です。Nintendo Switchの新しい技術でキャラクターモデルの質感表現がより豊かになり、キャラクターたちがその場に生きているようなリアルさで表現できるのです。今作は登場するキャラクターも多く、プレイヤーキャラクター20体を含む全キャラクターのモデル、モーション制作に携わっています。基本動作のアニメーション制作から、ミニゲーム専用の動きも制作しています。キャラクターの動きに直結した操作感をプレイヤーが感じられる、そんな一体感を実現できるよう制作に取り組みました。
マリオの世界観を崩さずに、「マリオパーティ」らしい遊びの要素も加えて背景を制作するのが3Dマップチーム。コンセプトアーティストが描いたデザイン画を3Dに落としていく中で、ゲームプレイを妨げない新しいデザインを創造していきました。キャラクターの存在感を大切にし、材質や形までも考慮してデザインを決めるのです。カラフルなイメージの強い「マリオパーティ」シリーズですが、今作では落ち着いたトーンでまとめ、シンプルなデザインヘつくり変えるという挑戦をしました。
UIチームも「シンプルに表現する」ことに挑戦しています。3Dグラフィックができあがるにつれ、賑やかな装飾をつけられた2Dの文字などの主張が強くなりはじめたのです。「このままではプレイヤーにとって見づらい画面になってしまう」と感じ、スコアやアイコンなど、表示される文字情報を「シンプルだけど、わかる・楽しめる」デザインヘ大転換。「ゲームをサポートする」UIに徹することで、より見やすい画面デザインが誕生したのです。
04ゲームに息を吹き込む
サウンドチーム
サウンドのディレクションでは、効果音やBGMなどあらゆる音の演出に総合的に関わります。「人がイメージする音は、十人十色」と、サウンドチームだけでなく、ディレクターやプランナーとも連携し、聴き映えを大切にしてトライアルアンドエラーを繰り返し、実装していきました。Joy-Con™に搭載されたHD振動もサウンドの担当。例えばパンチは、効果音とそれに合わせた振動を0からつくり出しています。細かく設定できるHD振動を、どうすれば最もプレイヤーの感覚に合わせられるか。プレイヤーの体験をイメージしながら細やかに調整を繰り返しています。それによって「スーパー マリオパーティ」のキャラクターを操作していると感じられるリアルな操作感が引き出されていったのです。
サウンドの新入社員は制作を進める中で「サウンドをどうゲームに実装するか」を学んでいきました。作曲を任された「なりきりビート」は、音がなければ面白さが体感できないモード。プレイヤーの動きにあわせて効果音を変化させたり、ゲーム進行に合わせて BGMを違和感なく変えるという細かい調整を手がけました。例えば、「この小節の後にちょっと変化を加える」「主張するところを変え、メリハリを出す」など、これまで学校では教わってこなかった感覚を身につけながら、先輩社員とともに自分がつくった曲を実装し、ゲームの完成度を高めていったのです。
05幾度ものブラッシュアップを
経て、迎えた発売日
制作の途中では様々な年齢層の方を対象としたテストプレイが行われます。「帰りたくない!もっと遊びたい!」という嬉しい言葉を聞く瞬間もあります。ただ、ここで開発が完了するわけではありません。面白いと感じてもらえたところ、遊びにくいと感じさせてしまったポイントなどをリストアップし、発売に向け、さらにブラッシュアップをしていきます。
ゲーム開発は妥協が許されない世界。「誰もが楽しめるゲーム」を目指し、1回の歓声に慢心することなく、テストプレイを繰り返して、さらなる完成度を追求していきます。
こうして2018年10月5日に発売された「スーパー マリオパーティ」は、世界で楽しまれ、笑顔を生み出しています。世界中から届くプレイ動画やレビューでたくさんのプレイヤーが楽しむ様子を知ることほど、開発スタッフにとって嬉しいことはありません。「史上最高のパーティゲーム」をつくり出した。そんな達成感と実感がわきます。
「ゲームには絶妙なバランスが問われる。誰もがプレイするごとにうまくなり『次こそクリアできる』『もっとうまくなれる』とリトライする。そんなバランスが必要」という考えが開発スタッフ ー人ひとりに浸透しています。
多種多様なジャンルを1つのソフトで遊ぶことができるパーティゲームには、この考えが不可欠です。シンプルなルール、操作でありながら、誰もが楽しく遊べるゲームを新たに生み出し、さまざまなことにチャレンジしていくのです。
※ Nintendo Switch・Joy-Conは任天堂の商標です。